カメラ知識

カメラはRAWで撮影すればいつもキレイな画質が撮れるという妄想 【現役の開発者から見た真実】

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こんにちはなるり(@narurufootmouth)です。

今回は、少しカメラについて現役のカメラ開発者の視点でコアな話をしたいと思います。

一眼レフやミラーレス、コンパクトカメラなどデジタルで写真が撮れる様々なカメラが世の中に出回っています。

一眼レフや、ミラーレスには勿論のこと、プレミアムなコンパクトカメラにもRAW撮影の機能が搭載されています。使いこなせばとても便利な機能なのですが、このRAW撮影に関してはカメラの詳しい人も知らずに使っていることもあります。何となくRAW撮影してるって聞くと聞こえもいいですし(笑)。

今回はこのRAW撮影についてできるだけやさしく説明したいと思います。

まずRAW撮影とはどういう機能なんだろう。

RAWとは主に「生」という意味合いを持ちます。

そしてカメラとは、被写体(目に写るもの)の光を画像として記録するものです。
つまり、RAW撮影とは、「被写体の光を生のまま画像として記録する」機能ということになりますね。

これだと分かりにくいので料理に例えてみますね。

RAW画像は、生の画像ということで、料理でいう野菜や肉などの食材といえます。これは調理をしていないので食べることが難しい状態です。
そのため、その食材それぞれを調理を行ってはじめて、私たちは食べることができるモノになります。

食べれるということは、写真の世界でいうと、画像を印刷したり、人に見せれる状態のものを示します。

一方、カメラで通常記録される画像は、そのまま印刷したり、人に見せたりできるので、調理された後の料理といえます。(つまり、生の画像データに色やエッジの強調処理などの味付け作業をされたもの)

一般的にこの形式の画像はJPEG形式の画像になっていることが多いため、RAW撮影と区別するときにJPEG撮影と呼ばれます。

RAW画像のメリットとデメリット

RAW撮影のイメージが掴めたところで、RAW画像のメリットとデメリットについてこれから具体的に挙げていきたいと思います。少し難しくなってくるかもしれないので、分からないことがあればコメントに書いていただけると助かります。

RAW画像のメリット

とにもかくにも、まずはRAW画像メリットから

  1. ホワイトバランスを後から調整することができる
  2. 明るさのトーンを後から調整することができる
  3. フィルター処理などの画像加工がしやすい

それでは、一つ一つ説明していきましょう。

 

1.ホワイトバランスを後から調整することができる

撮るときにホワイトバランスをどうしようか迷う時に後から変更することができるので便利です。つまり、全体的に写真を赤っぽくしたいとか、青っぽくしたいとかを調整を後から変更することができます。撮影時に決めていた色あいが、スタジオに戻ってからと違うということは良くあります。

実は、JPEG画像でもホワイトバランスを後から調整することは可能ですが、色々と味付けをされた後の画像を使ってホワイトバランスを変更すると、もともと存在しなかった色が発生したりする場合があり、画像が汚くなってしまう可能性があります。一旦味付けした料理に違う味付けをしようとすると変な味になってしまう…そんなイメージです。

 

2.明るさのトーンを後から調整することができる

撮影後に明るいところをよりより明るくしたり暗くしたり、逆に暗いところをより明るくしたり暗くしたりなどの明るさのトーンをRAW画像を使うことで後から調整することができるということです。これは、RAW画像にとっての大きなメリットです。一般的にRAW画像は、JPEG画像に比べて明るさの階調幅が細かくなっています。そのため、より細かく階調を調整することができます。

 

3.フィルター処理などの画像加工がしやすい

SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)上にお気に入りの画像を載せたりしたい場合、シーンをそのまま写したテイストの画像よりも、雰囲気が出るような効果を付けたりすることがあります。この時によくフィルターを使って様々な画像加工を行う場合があります。このような画像加工をする場合にも素材のままのRAW画像を使う方がJPEG画像に比べより効果を出しやすい性質があります。(正確には、画像が持っている信号値に割り当てられているBIT数が多い)

RAW画像のデメリット

RAW画像についてのデメリットは以下になります。

  1. 画像データの容量が大きい
  2. JPEG画像に変換する処理(現像処理)がめんどくさい
  3. カメラのJPEG画像と同じ品質の画像を得ることはできない。

こちらも同様に一つ一つ説明していきましょう。

 

1.画像データの容量が大きい

RAW画像は、JPEG画像に比べて画像データの容量が大きいです。そのため、カメラでRAW撮影を行っているとすぐにSDカードや、CF(コンパクトフラッシュ)カードの容量が満タンになってしまします。これはRAW画像は生のままのデータなので、データがほとんど圧縮されていないというが主な原因です。一方、JPEG画像は、JPEG方式という画像データを圧縮する方式になっています。

また、JPEG画像は色を表現する幅は赤、青、緑の各色ごとに256段階となっています。一方、RAW画像はそれ以上の色の表現する幅を持っています。そのため、圧縮の有無を覗いたとしてもRAW画像は、データの容量が大きいです。

 

2.JPEG画像に変換する処理(現像処理)がめんどくさい

RAW画像は、生の食材と例えましたが料理と同じく味付けなどの調理しなくては、JPEG画像(印刷したり、人に見せれる状態なった画像)にすることができません。これは、基本的には一枚一枚自分で頑張って処理をしなければいけないので、撮影枚数が増えると実際非常にめんどくさくなります

 

3.カメラのJPEG画像と同じ品質の画像を得ることはできない。

実はRAW画像を編集している人も気づいてない人が多いのですが、RAW画像をカメラで撮影したJPEG画像と同じ品質にすることはほぼ不可能です。今回は詳しく説明しませんが、カメラでJPEG画像を生成するときにも実はカメラがRAW画像をJPEG画像にするための処理を行っています。この処理は、各カメラに搭載されている映像エンジンという専用チップで実現しています。RAW画像を編集する際にはPCのアプリケーションを使うことが多いと思います。しかし、PCにはこのチップが入っていないため、結局のところカメラのこの専用チップで行う処理を疑似的に行っています。

カメラに入っているこの専用チップは、RAW画像からJPEG画像を作るために最適な処理を行うように作られています。国内のカメラメーカーはそれぞれ独自にこの専用チップを開発しているため、中身がどのような作業を行っているかを正確に知ることは難しいです。しかし、この専用チップがあることでカメラは快適に撮影を行い、更に綺麗なJPEG画像を作ることができます。

勿論、カメラでJPEG画像を作るときには、実際の被写体が目に映る風景通り綺麗に再現するということを第一に作られているので、様々な雰囲気を表現するような表現をする場合には、インパクトが小さい画像になる場合も多いです。また、後からRAW画像を編集するようなことができないので、カメラの撮影時の設定によって表現を変えることを行う必要があり、これもなかなか難易度が高いです。しかしながら、撮影の設定で自分の表現したいものを表現できるようになると、RAW画像で後から編集するのに比べてより高品質な画像を撮影できるようになります。

実際、RAW撮影を行わず、JPEG撮影を中心に行うプロのカメラマンもいるようです。

一旦、整理します

少し話が難しくなったので、もう一度料理の話を使ってまとめてみます。

生の食材(RAW画像)は、調理(編集)しないと食べる(写真として印刷したり、人に見せたりする)ことができません。そのためには調理(編集)する人が必要となります。

RAW撮影した場合では、この調理(編集)人は基本的にPCのアプリケーションになります。一方、JPEG撮影をした場合では、この調理(編集)人はカメラの中の専用チップとなります。

やはり、カメラの中にいる専用チップはカメラが最適な画像を出力するように設計されているのでプロの料理人です。一方、PCのアプリケーションはプロの料理人とは言えないですが、RAW撮影をした人の意図を反映した調理(編集)を行うことができます。

そのため、同じ編集を行う場合にはJPEG撮影を行い、専用チップが編集した方が良くなりますが、違う編集をしたときは、RAW撮影を行った方が撮影者の意図を組んだ画像を出力することができるというわけです。

このことを知っていると、RAW撮影をしてるから偉い、JPEG撮影をしているからダメっていう変な偏見が無くなると思いますし、自信をもってJPEG撮影をやることができ、RAW撮影するときでも上手く写真表現ができるようになると思います。

まとめ

以上、RAW撮影について、できるだけ技術的なところを省いて説明したつもりです(どうしても全部省くことはできませんでした…)。今回のテーマでは、RAW画像を撮影すればいつでも大丈夫ではないぞということが何となく頭に入って頂ければ成功だと思っています。

RAW画像のメリット・デメリットを考えると、どうやらRAW画像とJPEG画像の使い分けを行うと良さそうです。

今後も機会を見つけて、色々なカメラの情報を届けていければいいなと思っています。




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